今月の4日に談山神社に行ったらソメイヨシノの蕾がようやく、ほころび始めていた。しかし桜の木の後方に幾重にも重なりあって続く山並みが美しかった。
それを見て、この景色は雨上がりが似合う風景だ。重なりあった山ヒザに霧がかかれば、山の稜線がはっきり見えるだろう。それに満開の桜を入れたら絵になる、と勝手に想像を膨らませた。
そう思っただけで、気持ちの上では、もうすっかり素晴らしい写真を撮った気分になるのだから、僕は単細胞で、ノーテンキな男だ。
それはともかく、その日の昼から雨になったが、翌日からは晴天が続いた。新聞の開花状況を見ていると、談山神社の桜もやがて満開になった。しかし雨は降らない。
普段は桜が咲いている時に雨が降ると腹が立つのに、今年は雨になって欲しかった。世の中の人は、今年は長い間桜が楽しまれると、喜んでいるのに僕だけは雨を待った。
そして14日になって、ようやく10日振りの雨が降った。そうなると、単細胞の頭には談山神社の景色しかない。夜が明けるのも待ちきれず、まだ薄暗い内に家を出て淡山神社に着いた。
広い神社の駐車場はガランとしていて、人影がみえないのは当然だが、桜もガランとしていた。 お目当ての桜は昨夜の強い雨で、残念ながら散ってしまったようだ。
そして、肝心の山並みは遠くの方が霧に隠れて見えない。霧があっても遠くの山まで、ハッキリ見えるつもりだったのに…。
それでも、この付近のしっとりした雰囲気はいいので、白壁の民家を入れて撮った。
下の駐車場を覗いたら、昨夜の雨で散った桜の花びらが美しかった。