先月、滝の写真を撮りに大分まで行ったが、初心者が滝を撮るのにわざわざ九州下んだりまで行く必要はなかった。もっと手近な所に有名で、素晴らしい滝があるということを、今回そこに写真を撮りに行って思い知った。
それは三重県名張市にある「赤目四十八滝」だが、僕はこの滝のことを知らなかったのではない。渓流や滝の写真を撮りたいと思った時に、真っ先に思いついたのもこの滝の名前だ。ただ、どうした訳か僕はこの滝に縁がなく、行ったのは今回が初めてだった。
昔からハイキングコースとしても知られている所なので、若い頃には何回か友達に誘われたこともあるが、その都度何かの所用で行けなかった。そして最近では山登りで、この付近には随分行っているのに、この滝には立ち寄っていない。
滝のあるのは三重県だが、この滝の水は木津川に流れ淀川となっているので、僕が毎日飲んでいる水の一部はこの滝の水ということになる。そんな身近な滝を放っておいて、九州や丹後をウロウロしたのだから、まさに「灯台下暗し」だ。
「赤目四十八滝」の名前の通り、4~5キロの間に、次から次と滝があり、渓流がある。
そして「苔むす」の言葉通り、苔むした美しい岩があちこちにあった。
この滝は
「布引の滝」だが、白い布を垂らしたような姿が美しい。
布引の滝という名前がつけられた滝は各地にあるが、いくつか僕が見た布引の滝の中では、この滝が一番その名前にふさわしいように思える。
美しかったのは滝や苔むした岩だけではなく、小さな「せせらぎ」や渦を巻く「よどみ」にも目を見張った。
しかし、渓谷の最後の方まで登って行って、次の
「荷担滝(ニナイダキ)」を見たとき、それまでに見た全ては脇役で、この渓谷の主役はあくまでもこの滝だと思った。
それほど印象的で素晴らしい滝だったが、残念ながら今が新緑の季節でなかったことが惜しまれた。来年は是非新緑の季節に行って、今度こそ「冷酒のコマーシャルのような写真」を撮ろう。